女性の睡眠時無呼吸症候群
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠中に気道が塞がることによって起こる睡眠関連呼吸障害です。
多くの場合、寝ている間の喉の筋肉の緩みや、舌の付け根(舌根)が気道に落ち込むことによって、空気の通り道が狭まり、無呼吸が引き起こされます。
無呼吸が発生すると、体は呼吸を再開させるために脳を無意識に目覚めさせます。
夜間に、「無呼吸と覚醒」のサイクルを一晩中繰り返すため、心身の回復に必要な深い睡眠が得られず、翌朝の倦怠感や日中の強い眠気に繋がります。
一般的にOSAは、「肥満気味の中年男性」の病気というイメージが強いかもしれません。
しかし、実際の調査では、OSAと診断される男女比はおよそ2~3対1と報告されており、女性にとっても決して他人事ではない疾患です。
特に女性のOSAは、妊娠や閉経、加齢といったライフステージの影響を大きく受けます。
妊娠に伴う体重の増加や、閉経以降のホルモンの変化が、呼吸器や睡眠の質に深く関与していることが指摘されています。
なぜ、女性は男性に比べて診断されにくいのか?
実際にOSAの治療を受けている女性の割合は、男性に比べて低い傾向にあります。
その大きな理由として、女性のOSAは、男性のような「典型的な症状」が現れにくいことが挙げられます。
特に軽症の場合、大きないびきや無呼吸といった分かりやすい自覚症状がほとんどないため、自分が病気である可能性に気付かないケースが少なくありません。
また、いびきの症状がある場合でも、「女性がいびきをかくのは恥ずかしい」と心理的な抵抗感から、相談をためらったりすることが、結果として病気の発見を遅らせる一因となっています。
女性のOSAは、いびきや眠気といった一般的な症状だけでなく、女性ならではのサインとして現れることもあります。
以下の項目を参考に、ご自身の体調をチェックしてみましょう。※1
- 睡眠の質が悪い
- 朝の頭痛
- 夜間頻尿
- いびき
- 不眠症
- 悪夢
- 集中力と記憶力の低下
- 気分の変化
- イライラ
- うつや不安などの気分障害
- 睡眠の断片化と頻繁な覚醒
https://link.springer.com/article/10.1007/s11325-025-03420-1
睡眠時無呼吸のリスクについて
OSAは、高血圧、脳卒中、不整脈、冠動脈疾患、心不全などのさまざまな循環器疾患との関連が指摘されています。
女性のOSAは、レム睡眠中に発生しやすい特徴があります。レム睡眠中は、心血管機能が不安定になりやすく、交感神経が優位になるため、心血管疾患のリスクをより高める可能性があります。また、レム睡眠中の無呼吸は、朝方の高血圧を招く要因としても注目されています。
こうしたリスクへの対策として、CPAP(シーパップ)治療が有効です。
一晩につき4時間以上の継続的な使用により、血圧の低下が期待できます。※2
また、OSAは、血糖コントロールに悪影響を及ぼし、二型糖尿病との関連性が指摘されています。
睡眠中に発生する無呼吸や低呼吸などのイベントによって交感神経が活性化すると、血糖値の調整を行うインスリンの働きが低下し、血糖値が下がりにくくなります。
レム睡眠中に起こるOSAは、ノンレム睡眠中のOSAより無呼吸の時間が長くなるなど重症化しやすい傾向があり、二型糖尿病の発症に関与していることが指摘されています。※3
レム睡眠とは
睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠の2つの睡眠段階に分けられます。
ノンレム睡眠は、睡眠の深さにより、さらに3段階に分けられます。
レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルは約90~120分間隔で繰り返し行われ、睡眠の後半になるにつれて、レム睡眠の割合が増えていきます。
レム睡眠は、急速眼球運動のRapid Eye Movementの頭文字をとってREM(レム)睡眠と言います。
寝入りばなのうとうとした状態の脳波と類似しており、心拍や呼吸が乱れるなど自律神経が不安定になります。※4
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-048